残りの2人は3年生が続き、楽しげなヤジも飛び交い、会場はなかなかいい雰囲気だった。

3年生が1位かと思われた投票の結果は予想外のものになった。1位は1年生の女子。2位がラストの3年、3位が美雨。観客に女子が多かったせいかもしれない。

投票数は公表せず、入賞した本を図書室に取り寄せる約束が賞品代わりと告げられた。



「美雨、すごい!私も頑張って読みたくなったもん!よかったよ!」

沙織はちょっと恥ずかしいくらい盛大に喜んでくれた。

実際それほど得票数に差はなくて、どの発表もよかったと先生は発表者を褒め称え、運営の図書委員たちのこともねぎらった。

イベントは間違いなく成功だった。



その後全員で椅子を片付けていると、美雨と羽鳥だけが改めて町村先生に図書室のほうへ呼ばれた。

「ビブリオバトル、本当に良かった。提案してくれてありがとう」

「俺も想像以上に面白かったです」

「第2回も図書委員会で企画しようね、中園さん」

羽鳥と違って「はい」としか答えられない美雨に、町村先生は言葉を重ねる。

「中園さん、あなたすごく頑張ったね。声が少し小さかったけど、みんな引き込まれてたわよ」

「でも、最後までちゃんと話せなくて」

「大丈夫、大丈夫。伝わったから。いい企画だったし、あなたがこんなにリーダーシップをとれる子だって知らなかったから驚いちゃった」

こういうことで褒められたことも、ましてやリーダーシップがあるなんて言われたことも初めてで、また顔が熱くなっていくのがわかった。