始業式の学校につくと、新3年生の学年便りが配られていた。羽鳥と沙織がまた同じクラス、美雨は隣ですらない別のクラスだ。

「中園、また一緒だね。よろしく!」

「あんまりしつこいと嫌われるよ、山根。美雨ちゃん、私も一緒だから行こう」

山根と由香に声を掛けられたことに始まり、美雨は1人になることなく日ごとに新しいクラスに馴染んでいった。

沙織にもう一度謝りたいと思いつつ、きっかけをつかめずにいた。羽鳥と沙織のクラスを訪ねる勇気はなく、通学路で見かけたら声をかけようと考えるが、避けられているのか偶然会うことがなかなかない。


美雨は今回も図書委員に立候補していた。ただ3年生で経験者は委員長に推薦されてしまうことがあるから、第一回委員会では目立たない隅の席を美雨は選んだ。

「ここ、空いてる?」

隣の椅子を引きながら話しかけてきた声に、ビクッと体を緊張させた。

「くじ引きで負けちゃって」

と沙織は席に着きながら言う。

美雨が「そうなんだ」となんの意味もない相槌を返すと、「なんてね」と何気なく言い、その後は澄まして座り話しかけてこなかった。