「おい、紫月!」


「あ、冬夜……」


「昨日のアレ、どういうことだよ。」


「昨日電話で話したとおりだよ。」


「じゃあお前も俺と全く同じ夢を見てたってことか?」


「そう、なると思う。」


あの夢を見たあと私は目が覚めた
そして、冬夜に伝えなければならない気がして電話をかけた


「…ん、もしもし」


「冬夜?ごめん起きてた?」


「いや、さっき目が覚めて…って急にどうしたんだ?まだ2:30だぞ?」


さっき目が覚めたって…
もしかしてまた冬夜もあの夢を??


「あ……実は伝えたいことがあってね」


「おー。どうした?」


「夢のことなんだけど……」


私は前の夢のこと、今回の夢のことすべて冬夜に話した


「は?何言ってんだよ。さっきの夢も?まさか、そんな……」


それきり冬夜は黙りこんでしまった


「ごめんね。詳しいことはまた明日話すから。じゃあね!」


「お、おい!紫月!」


…………………


「切れてる…」


あぁぁぁ!やばい!つい気まずすぎて切っちゃった!
明日…どうしよう


結局朝まで眠れなくてベッドで考え込んでいた


「話をまとめると、私達二人は同じ夢を見ていた。そして私達はそれぞれ人を探し出さなければいけない、と。でもその人は近くにいるけどすれ違っている状態ってとこかな。」


「すれ違っているってことは少なくとも俺達お互いのことじゃないってことだな」


「そうだね」


「あのさ、一ついいか?」


「うん?」


「もし、夢の声の主が言っていることが本当なら俺達は相手を探さなきゃいけないわけだけど……あのさ、その間俺達ちょっと距離置こうぜ」


「え?どうして?恋人じゃあるまいし」


「や、でもさ、相手を探すからにはしっかりやりたいじゃん?だからお互い見つけるまでは極力会わないようにしよう」


「でも、距離なんか置かなくたって探せるでしょ!」


「とにかく、そのほうがいいんだよ」


ほとんど無理やり距離を置くことになった。ただの夢だけでここまでしなくてもいいのに…


私はその日から冬夜に会うことはほとんどなくなった
一緒に登下校もしなくなった
家に来てくれなくもなった
顔も見なくなった


「こんなのやだよ…………」