ーーーーーー私なんか、好きにならないで。そんなに、私に優しくしないで。喘息持ってるから私、外に出たらすぐにしんどくなるよ。デートだって、全然楽しくないよ。
私は、両手で顔を覆った。
「それにマラソンやってるより、冬ちゃんと喋ってる方が楽しいから。好きな人ほっといて、俺はマラソンなんかできないよ。」
そう言って真夏君は、私を優しく包み込んだ。彼の名前と似て、温かい温もりを感じる。
冬なのに、なぜか心は温かい。彼と共に一緒の時間を過ごしたせいなのか、大っ嫌いだった自分の名前と一緒の冬の季節が好きになりつつある。
「だからもう、自分の名前を嫌いとか言うなよ。」
彼がまた、私を優しくしてくれる。
「そんなに、私に優しくしないで。」
私は、泣いていた。でも、その涙は悲し涙ではなかった。うれし涙だった。
「なんで、優しくしたらダメなの?俺、冬ちゃんのことが好きなのに………」
「私も、真夏君のことが………」
ずっと書いていた私の理想日記が、やっと現実になった。