歩いていると、璃倫さんに似た人を見かけた。


「田橋さん、あの人!」

「どの人?」

「璃倫さんが、踏切の前に立っている!」

「私には見えませんね。女性が立っているところは。」


えっ、見えないの?

あんなに目立つ格好しているのに。


青いワンピースに白いサンダル、水玉のカチューシャ、耳には紺色ガラスのピアス。

交番前で見た格好と同じ。


もしかして、幽霊?

これだと、違うジャンルのお話になってしまう。

ほらほら、ホラー!


あれ? 気がつけば璃倫さんいない。


「違う人? 気のせい?」

「気のせいだな。疲れてるからだよ。」


璃倫さんを見たことを、見なかったことにしよう。