「衣純、暑いって言うとさらに暑くなるからやめてよ」

「んだよ、じゃあ寒いって言えば寒くなるのかよ」

「馬鹿みたいなこと言わないで」


さらに不機嫌な顔をした彼は、足元に落ちている小石を蹴った。

小石が遠くに消えていくのを見届けたあと、既になくなったラムネ瓶を頬に当てて目を閉じた。

その端正な横顔に、首筋に、汗がするりと落ちていく。

それにさえドキドキしてしまう私も、馬鹿だなあと思う。