何だか久しぶりに感じる、自分の教室。

僕をいじめていた髪の毛を赤く染めた不良も教室にいたが、もうバカにしたりや殴ったりはして来なかった。それと同時に、赤髪の不良のケガも大したことがなくて安心した。

「ふぅ。あいつのケガがひどかったら、謹慎も長引いていたかも知れないからな」

美希さんと学校でも会える喜びを噛み締めながら、僕は胸をなでおろした。

「美希さん………」

自分の席に向かうと、美希さんの姿が見えた。

彼女は学校の女の子と比較しても綺麗で、風俗で働いているなんてとても思えない。

「美希さん、反省文書いて学校でも会え………」

「美希ちゃん、おはよう」

「美希、ノート見せて。授業中ずっと寝てたし、今までの分ずっとノート取ってなくて………」

僕が美希さんに喋りかけようと思ったそのとき、男性と女性の声が割って入った。

「…………」

視線を声のした方に向けると、見たことのない男性と女性の姿が見えた。

男性は僕の机に座りながら、宙で足をぶらぶらさせている。女性は、その横に立っている。

「裕ちゃん、またぁ。別にいいけど………」

美希さんに裕ちゃんと言われた人は、爽やかな男性だった。

背はあまり高くないが、美希さんとは対照的な小麦色の肌をしていた。運動をしているのか、制服の上からでも分かる、がっちりとした筋肉質な体型。ワックスで黒い髪の毛をおしゃれにセットし、整った顔立ちをしていた。