「や、やったぁ」

自然と、僕の顔がほころぶ。

ーーーーーー最近ではネットを通じた、一般的なサービスが風俗でも主流となっている。名刺ではなく、風俗嬢に日記を書いてもらえるシステムになっている。しかも驚くことに、ネットから好きな風俗嬢に登録出来たりもするらしい。つまり、アイドルみたいに応援出来るのだ。

「すごい時代だなぁ………」

僕はそう言いながら、佐藤利恵と書かれた美希さんの日記にタッチした。

【二人だけの秘密の共有者さん。秘密の共有者さんの気持ちは、すごく分かります。いじめを我慢するのは、すごくしんどいですよねぇ。でも、会えてうれしかったぁ。ここだけの話。私は、秘密の共有者さんの味方ですよ。また、来てね】

ーーーーーードクン!

美希さんの日記は、僕の体と心を癒してくれる。彼女に優しくされればされるほど、美希さんへの想いが募る。

「………」

美希さんのことを考えながら他の風俗嬢の日記を閲覧していると、しばらく更新されていない日記が目に入った。

「坂口かな………」

僕は、その風俗嬢の日記をタッチした。ディスプレイに、彼女の日記が表示される。日記は4月9日から投稿されておらず、出勤予定も空白となっている。年齢は、22歳と書かれていた。

「4月9日……22歳………」

坂口かなさんの日記を見て、僕の背筋が冷たくなるのを感じた。僕の頭の中に、風俗嬢強姦事件のニュースが急に警告のように反響した。

「まさか………?」

僕のその声は、掠れていた。