二人だけの秘密




ーーーーーー正午過ぎーーーーーー。

左手につけてある、デジタル式腕時計に視線を落とすと、2時30分を表していた。

「2時30分か………」

四条河原町の人混みの中から抜け出し、僕は木屋町通りの細い路地を歩いていた。怪しい看板が立っており、その真横に中年の男性が立っている。昼間なのに木屋町通りは人通りが少なく、不気味感と怪しさが一気に漂う。

「ゴクリ」

僕は、生唾を飲んだ。そして強張った表情を浮かべながら、木屋町通りを歩く。

「お兄さん、どうぞ」

中年のおじさんがにっこりと微笑み、僕に優しく声をかけた。

ーーーーーー声をかけられた。高校生なのに、店に入れるのかな?

僕の心臓が一瞬ドクンとなり、目を大きく見開いた。

「今だけ、特別価格ですよ。どうですか?」

お店の従業員と思われる男性が、誘うように僕に言う。

「………」

辺りを確認すると、違う店の男性従業員が同じような手口で男性客を呼び込んでいた。その呼び込みにうまく乗せられ、男性客がいかがわしい店に入る姿が見える。

「どうですか?」

髪の毛の薄い、太めの中年の男性従業員がにんまりと猫のように笑い、僕を店の中へと招き入れようとする。

「いえ、結構です」

僕は手をパタパタと振り、その場から早足で離れた。