「昨日の殺人事件のニュース見た?」
僕の隣から、女性の声が聞こえた。
「……」
僕はちらりと、声のした方に視線を移した。
僕の視線の先に、若い男女のカップルの姿が目に映った。
「見た。見た。娘が強姦されて、その父親が同じ大学の男子生徒に復讐した事件だろ」
若い男が、若い女性の胸に指を指しながら答えた。
ーーーーーー昨日のニュースだ。
僕はiPadの音量を最小にし、二人の会話をこっそりと聞く。
「でも、あの風俗で働いていた女性、かわいそうだよね」
若い女性がしんみりとした顔をし、抑揚のない声で言う。
「どうして?」
首をかしげて、若い男性が低い声で訊いた。
「ネットの掲示板に書かれていたことなんだけど、強姦された風俗嬢、彼氏と結婚間近だったらしいんだ〜。あ!でも、ネットの情報だから、嘘か本当か分からないよ」
若い女性は切ない表情を浮かべ、無理やり明るい口調で説明する。
「ふ〜ん」
それを聞いた若い男性は、うんうんと首を縦に振る。
ーーーーーーなんて、メチャクチャな奴らだ。そんなことを聞くと、僕がハサミを投げたことなんか全然大したことないように感じる。確かにナイフで人を刺すのは復讐にしてはやり過ぎな行為かもしれないが、人の幸せを潰すのは誰にも出来ない。
僕はなんとなく、娘さんの父親の気持ちが分かる気がした。
僕の隣から、女性の声が聞こえた。
「……」
僕はちらりと、声のした方に視線を移した。
僕の視線の先に、若い男女のカップルの姿が目に映った。
「見た。見た。娘が強姦されて、その父親が同じ大学の男子生徒に復讐した事件だろ」
若い男が、若い女性の胸に指を指しながら答えた。
ーーーーーー昨日のニュースだ。
僕はiPadの音量を最小にし、二人の会話をこっそりと聞く。
「でも、あの風俗で働いていた女性、かわいそうだよね」
若い女性がしんみりとした顔をし、抑揚のない声で言う。
「どうして?」
首をかしげて、若い男性が低い声で訊いた。
「ネットの掲示板に書かれていたことなんだけど、強姦された風俗嬢、彼氏と結婚間近だったらしいんだ〜。あ!でも、ネットの情報だから、嘘か本当か分からないよ」
若い女性は切ない表情を浮かべ、無理やり明るい口調で説明する。
「ふ〜ん」
それを聞いた若い男性は、うんうんと首を縦に振る。
ーーーーーーなんて、メチャクチャな奴らだ。そんなことを聞くと、僕がハサミを投げたことなんか全然大したことないように感じる。確かにナイフで人を刺すのは復讐にしてはやり過ぎな行為かもしれないが、人の幸せを潰すのは誰にも出来ない。
僕はなんとなく、娘さんの父親の気持ちが分かる気がした。


