二人だけの秘密




『4月11日《金》午前8時35分』




真っ白な天井が、僕の目に映る。

「………」

いつもの平日の朝と比べて、頭と目がスッキリしていることに不安を感じる。手元のiPadを手に取り、閉じてあるiPadカバーを開ける。検索サイトーのアプリと、動画サイトのアプリ、音楽サイトのアプリ。僕のダウンロードしているアプリが、ディスプレイに表示される。

僕のダウンロードしているアプリは少ないが、充分楽しめる。ディスプレイの上に、今の時間が表示されている。

ーーーーーー午前8時37分ーーーーーー。

「………」

ほんのわずかな時間、iPadの画面上に表示されている時間を目を細めて見る。

「はぁ。平日の朝だと言うのに、謹慎中は両親は起こさないんだなぁ………」

僕はため息をついた後、シングルベッドから起き上がった。そして体を大きく伸ばし、iPadを持ってリビングに降りた。

もちろんリビングには誰もおらず、朝食の準備と昼食代三千円。それと、母親の書き置きと見られる、白い紙。それらが、テーブルの上に置かれていた。

準備されたいた朝食の食パンの上にキャラメルソースをバターナイフで塗り、その上に、バターを一欠片乗せる。そして母親の書き置きと見られる、白い紙に目をやる。

『夕方までには、帰ります。反省文しっかり書いて、もう二度と親を泣かすことをしないでください。昼食は、好きな物を食べてください。母』

「チィ、うざー。勝手に泣いてるのは、そっちだろ。大体療育手帳を学校に持って行かしたからこそ、こんなことになったんじゃねぇか!」

僕は、母親の書き置きの白い紙をクシャクシャにしてゴミ箱に投げ捨てた。そして、朝食の食パンを食べた。

いつもならキャラメルソースの味とバターの味が口いっぱいに広がっておいしく感じられるのに、今日は怒っているせいか、おいしく感じられなかった。

「はぁ」

僕の口から、自然とため息が漏れた。

正直言って、謹慎処分は嬉しかった。平日なのに学校を休めるということと、朝から口うるさい父親の姿も母親の姿も見なくて済むということ。

しかし、どこかしんみりとした気持ちがあった。

「美希さん………」

僕の口から、彼女の名前が出た。今の僕は自由な休日よりも、彼女に会う方が楽しみだった。

「反省文………」

僕に課せられた問題を、弱々しく呟いた。

この言葉を言うだけで、僕のモチベーションが下がる。

僕は近くにあった、黒色の学生カバンの中から反省文を手に取った。反省文は五枚ぐらいあり、これを書かない限り、美希さんとは会うことは出来ない。

「まぁ。反省文ぐらい書かなくても、二週間経てば学校に戻って来れるだろう」

僕は都合よく解釈し、反省文をもう一度カバンの中に戻した。そしてパジャマから、ラフな服装に着替えた。

上はカジュアルな白いTシャツを着て、その上に薄手の上着を羽織る。下は、メンズの青いジーパンを履いた。それからサイフに四万円ぐらい入れ、外に出た。