二人だけの秘密

「うわぁ!これお前、療育手帳や」

不良生徒はバカにしたように笑い、療育手帳を他の生徒たちに見せびらかす。

「ははは、ヤバイな」

「どうりで、少しおかしいっと思ってたんや」

「支援学校行ったら。その方が、合ってるよ」

四方八方から、差別的な発言がマシンガンのように容赦なく僕の耳に届く。

ーーーーーー両親のせいだ。だから、嫌だったのに。

僕の気持ちを理解してくれない両親に、噴き出しそうな怒りと憎しみを感じた。そして、不良たちにやり返せない自分の非力さ。

「………返せ」

僕は怒ったように眉毛を吊り上げ、低い声で言った。

「学校今すぐ休んで、病院でも行ってこいよ。みんなも、そう思うでしょ?これ見たら」

僕の気持ちを一切理解せずに、不良生徒は周囲に療育手帳を左右に振って見せびらかす。その療育手帳を見たクラスメイトは、偏見な目で僕を見る。

「………」

もう、限界だった。急激に頭に血がのぼり、押さえられない怒りが込み上がる。そして、なぜか泣きそうになった。

「ははは、なんか泣きそうな顔になってきたやん。そのまま、『返してください』って頼めよ」

不良生徒はそう言いながら、足の裏で僕を思いっきりけとばした。