二人だけの秘密




『4月9日《水》午後1時5分』




学校内のルール説明を受け、僕は交通手段のプリントにバス通学とチェックした。そして体育館のホールで校長先生の話を長々と聞いた後、やっと帰宅することになった。

「帰ろうぜ」

「いいけど、ゲーセン寄って行かね。まだ、時間あるし」

「無理、金ない。それに、今日からバイト」

「マジで、さっそくバイト?」

「マジで。バイクの免許も欲しいし、遊ぶ金も欲しいから。悪いな」

「いいけど、バイトがんばれよ。風俗の」

「違うわ!俺、男だし、女でも絶対あの仕事は無理」

「ははは」

同じクラスメイトの人たちが、次々に教室から出て行く。

この短期間で、たくさんの友だちが出来たらしい。

「僕も、帰るか」

そう呟きながら、鞄を右手に持った。教室から出ようとすると、僕の視界に佐伯美希さんが映った。

教室の窓から外の景色を眺めており、春風が美希さんの黒い髪をなびかせる。

ーーーーーー友だち出来なかったのかな?てか、午前中も、窓から外の景色を眺めていたような………

僕は、心の中で彼女のことを不思議に思った。

生徒のほとんどの人が教室から出て行く中、彼女はぼーっと窓から外の景色を見つめている。