二人だけの秘密

「ご、ごめんなさい。でも、君のことを見ていた訳では………」

「いやいや、めっちゃ見てたやん。うそつくなよ」

僕の弁解も全く聞き入れてもらえず、一方的にまくし立てられる。

ーーーーーーたしかに視線はそっちに向いていたかもしれないけど、お前のことなんかほんとうに見てないわ。しかも、そんなに怒ることかよ?

自分が言い返せない弱い人間なのはわかっているが、それゆえに怒りが込み上がる。

相変わらず周囲からの煽りは止みそうになく、ただ僕の嫌な雰囲気だけが教室中に漂う。

「………」

僕はほんとうに見ていた、美しい彼女の方に視線を移した。彼女は教室の窓から、京都の桜と街を眺めていた。

教室の窓の外から見える、ピンク色の桜を彼女はどこか寂しそうに見ているように見えた。