二人だけの秘密

ーーーーーー完全なフラッシュバックだ。先生、早く来い。何やってんだよ。

心の中でそう強く念じる自分が、どこか情けなく感じた。

突然、僕の右頬に強い衝撃が襲った。顔がぐにゃりとゆがみ、鈍い痛みが残る。

「いたぁ」

その不良男子生徒は拳を握りしめ、僕の右頬を突然殴ったのだ。僕はその衝撃に耐えられず、その場に倒れた。

「マジで、ケンカや!」

「先生呼ばないと、ヤバくない?

「いや、やめとけやめとけ。先生にケンカを見つかった方が、めんどくさいなるぞ」」

「それもそやな。殴られた方、ガンバレ!」

やはりみんなには他人事なんだろう、な僕が殴られた姿を見てまるで関係ないような感じだ。

ーーーーーーまだ、大丈夫だ。療育手帳がみんなにバレた訳ではないし、このまま我慢すれば時間が解決してくれる。

そう思って、ポケットに入れた療育手帳を右手で確認する。ポケットに入れた療育手帳の感触があり、ほっと安心する。

「おい、なんでこっちをじろじろ見てたん?」

不良生徒に罵声を浴びせられながら、倒れている僕の体をぐっと踏む。新品だった真っ白なカッターシャツが、一瞬で汚れた。

ーーーーーー痛い。弱者をいじめて、なにが楽しい?てか、お前なんか誰も見てないわ。周りも、笑うな。先生、早く来い。何やってんだ。

僕は心の中でそう強く思うことしかできない。