「佐伯さん。全然学校に来てませんが、なにか知りませんか？」

意識して敬語で話す、自分。

「しばらく休むしか聞いてないです」

佐藤先生は、そっけなく言った。

「でも、こんだけ学校に来てないんですよ。おかしいとは思わないんですか？彼女と連絡は、ちゃんと取ってるんですか？家を知っているのなら………」

「栗原さん」

佐藤先生が大きな声を上げ、僕の言葉をそこで止めた。

「栗原さん。私たちも、一生懸命やっています。彼女と連絡はもちろん取っていますが、当の本人が学校に来ない以上、私たちはどうすることも出来ません」

佐藤先生にはっきりと言われ、僕は認めるしかなかった。周囲の教師たちも、佐藤先生が正論を言ってるかのようにうんうんと頷いている。それでもなにか納得できなかった僕は、「お願いします。彼女の家を教えてください。家に行って、お見舞いぐらいしたいんです」と、頭を深々と下げた。