「普通に働いていた彼は、会社をクビになりました。事故のせいで脳に障害が残り、先の見えない入院生活がずっと続きました」
かなさんの訴えるような瞳が、悲しそうに揺れる。
「………」
僕は、ただこの苦しい話を聞くことしか出来ない。慰めの言葉が見つからない。
「彼の勤め先の会社を労働基準法で訴えましたが、証拠不十分の為、敗訴になりました。残業代はしっかり払っていたわけだし、契約書に彼のハンコが押してあったのが敗訴の決定的な要因と言われました」
かなさんは、悔しそうに奥歯を噛みしめた。
「それでかなさんは、その彼氏さんの病院代を稼ぐ為に風俗で働き始めたんですか?」
少し低い声で、僕はかなさんに訊いた。
「そうです。風俗嬢は皆、訳ありです」
明るい口調で言ったかなさんの言葉が、僕の左胸を深く痛める。
ーーーーーー美希さん。
美希さんも、兄の大学費の為に風俗で働いていると言っていた。
かなさんの訴えるような瞳が、悲しそうに揺れる。
「………」
僕は、ただこの苦しい話を聞くことしか出来ない。慰めの言葉が見つからない。
「彼の勤め先の会社を労働基準法で訴えましたが、証拠不十分の為、敗訴になりました。残業代はしっかり払っていたわけだし、契約書に彼のハンコが押してあったのが敗訴の決定的な要因と言われました」
かなさんは、悔しそうに奥歯を噛みしめた。
「それでかなさんは、その彼氏さんの病院代を稼ぐ為に風俗で働き始めたんですか?」
少し低い声で、僕はかなさんに訊いた。
「そうです。風俗嬢は皆、訳ありです」
明るい口調で言ったかなさんの言葉が、僕の左胸を深く痛める。
ーーーーーー美希さん。
美希さんも、兄の大学費の為に風俗で働いていると言っていた。


