二人だけの秘密

「じゃ、坂口かなさんで………」

「ありがとうございます」

僕は料金、一万五千円を松岡店長に支払った。

「あ、あの〜。後、何分ぐらいでしょうか?」

「そうですね〜、三十分ぐらいでしょうか?」

「そうですか………?」

「ごゆっくり」

松岡店長は、にっこりと笑って待合室から出ようとする。

「その坂口さんって、今までずっと休んでいましたか?」

僕の心臓が、ドキドキする。気になってつい質問してしまったが、言ってしまったことは取り消せない。

「はい、今日から出勤です。お兄さん、ラッキーですね。でも、浮気はダメですよ」

意外にも、冗談ぽく返してくれた。そして、待合室から出た。

「………」

この瞬間、あの爆サイに書かれていた無数のスレッドが本当だと思った。

「………」

待合室に設置されている、クーラーの風が異常に冷たく感じた。