「それじゃぁ…、行ってらっしゃい」
結衣に笑顔を向けられて嫌そうな顔をする恵。
「お前ら二人とも呪い殺してやるっ」
…まだそんな恐ろしいことを言いながら一人、廊下を歩いて行く。
可哀想に。
…とは、二人は思っていないようだけど。
そして恵と別れた後、奏音と結衣は二人でお風呂に来ていた。
「…いつもはもっと早い時間に入っているので…
変な感じですね、」
『何が変な感じだよっ』と、普通ならここで恵が馬鹿にしたようにいつも笑う、
…が、しかし。
今は説教を受けているんだろう。
「そうね、」
すると、
やっぱり結衣ちゃんは優しい、…奏音はそう秘かに思った。
そして二人、大きなお風呂に浸かる。
…ふぅ、
温かくて心地良いです…
「…あ、それより結衣ちゃん、
あたしを保健室まで運んで下さって、ありがとです」
かしこまるようにペコッと頭を下げる奏音。
「あら…?言ってなかったかしら、
あの後、奏音が倒れてからバンドもストップしちゃって…、」
少し顔をお湯で洗うような素振りをする。
「そしたら急にDevilの人達がステージから飛び降りてきて…
抱き抱えていったの、姫山先輩が、奏音ことを」
あたしの心臓は、またもやドキドキとしてきて…。
「あた、…あたしが、あのお方に…」
すると突然、
「…か、かのんっ!?
またかぁ…」
やっぱりいつも平常心の結衣は、
結局そのまま奏音を引きずるようにして歩いていった。

