一人で帰る道は少し寂しくて、それにちょっと切ない気持ちになります。


…はぁ、



小さく溜め息、まるで世界中の全ての不幸を背負ってるみたいな表情をしてとぼとぼ歩いていく。




「…あ、ケーキ…」


よくあたしがケーキを買っていくお店、



何か…

甘いものが食べたいです。




そう思っているうちに本能なのか何なのか、それはよく分からないけど…

お店の中に足を踏み入れている自分に気づく。



何か悩みごとがあると甘いものが食べたくなってしまう。

…これは奏音の幼い時からの癖。



「…いらっしゃいませ~」

お店には綺麗な女の方がいて、…あぁ。この甘い匂い…っ!たまりませんね…


てくてくとカウンターまでいって、よく数々のケーキを見渡すと『ご注文、決まりましたら…』って笑って見てて、

なんとなく落ち着く気分になってしまって、



…あ、このショートケーキ美味しそうですね…


「…じゃぁ、このショートケーキと、…うーん、あっ!!このチョコ生ケーキを一つ!」


満面の笑みでそう言うと思い切り天井に向けて人差し指を立てる奏音。

そんな奏音にクスッと笑うお姉さん。



「何だか入ってきた時とは全然違いますね、表情が」

お姉さんはケーキを取り出しながらチラッとこっちをみて笑いながらそう言った。


表情…?

そんなに違ったんでしょうかねぇ…


「…そうですか?」