「…あ、

結衣ちゃんと恵ちゃん帰っちゃったみたいですぅ…」

教室に戻るなり今にも泣きそうな顔をする奏音、そしてそれを見て笑っている蓮二。


奏音の机に置いてある小さなメモのようなもの、そこにきっと『先に帰る』と書いてあったんだろう…



「どうすんの?

…メールしてみろよ、気になるなら」

教室の入り口の壁に寄り掛かって蓮二は言う。


奏音の席は一番後ろの入り口の横にあるから、すぐ側。




「…あたし、持ってないんです、携帯電話」

「はぁっ?」


言えにあるパソコンで十分だと思っているらしく、



奏音は携帯を持っていない。





「…あれって、Devilの姫山先輩じゃない?」

すると教室にいた女の子達が気付いたのか、その声でみんなが騒ぎ出す。



「何で桜木さんといるの…?」

「えー、分かんない、遊ばれてたりして!!」


そんな会話が聞こえてきて、

…なのに奏音は聞こえていないフリをする。



「…お前ら、誰に言ってんだ、あ?」

そんな彼女たちに頭にきたのか、蓮二はそのままズイズイと教室に入って行って、



「そんな、つもりじゃ…、」

まさか蓮二が怒るとは思わなかったのか…


クラスの女の子達はビクッと反応すると、その中の一人が泣きだしてしまった。




「…止めて下さい、」

小さくそう言って下を向いたまま蓮二のワイシャツを掴む奏音。


そんな奏音を見て蓮二も静かになる、


「帰りましょう…?」

「…おう、」