でも。

コイツはどんどん俺の中に踏み込んできた。


ズカズカ土足で何にも考えずに能天気に、




それで気付けば…





「馬鹿だし、頭逝ってるし…」

「先輩…?」


ゆっくりと奏音の頬を優しく柔らかく挟む。



真ん丸の目をして驚いたみたいな顔して、俺の目をジッと見つめる奏音の瞳は微かに揺れていた。


「単純だし…すぐ悪い方向にばっか考えやがるし。」

すぐ意味の分かんない被害妄想ばっかするし。



けど放っておけない。

一人にしておくと、どんな危険な目に合うかも分かんねぇから。



「…馬鹿だし、ウサギだし」

その添えたままの手に少しの力を込めて、