そうあたしが言った瞬間。

蓮先輩の瞼がパチパチと急な動きを見せ、閉じたり開いたり…?


「お前のことさ?」

首を少し右に傾けてから、疑問符をたくさん頭の上に浮かべながら奏音は質問攻撃を繰り返す。


「…っっ?!」

??


何故かよく分からないのですが…
先輩は手で顔を覆うと、あたしから正反対の方向を見てしまいました。

そんな先輩の顔があたしには少し赤く見えて…?


それでもあたしは何も分かりませんし、何も知りません。



こんな時。

上手く先輩の言いたいことも気持も…予想することも出来ないんですから。


「…蓮先輩?」

気になって仕方がない奏音はグイグイと蓮二の顔に自分の顔を近づけて真相を聞こうとする。
蓮二がそうすればするほど顔を遠ざけようとするから、
…だからこそ奏音は更に更に自分と蓮二の距離を短く近いものにしようとする。



けどそんな奏音の行動も。

逆に良くは…無いらしい、



「お前さぁ、本当…」

今度の先輩は赤らめた顔では無くて…何か困ったような顔をしていて。



あたしには不思議で仕方が無かったのです。


さっきまでの先輩は少しばかり可愛らしかったのに…


フワッと冷たくも柔らかな風が吹きつけて。

あたしの蜂蜜色の髪が自分の視界を遮るように、モノをみせてくれません。



けれど、


その風が止み。




長い髪が去った時には。