何だかさっきから幸せ気分に浸っているあたし。


急にこんな幸せになってしまって、果たして良いのでしょうか…

とか謙虚な気持ちを抱えつつ。
奏音の顔は緩んだまま変わらない。


「おい、…奏音はどうやって寝るんだよ」

「あ…えーと、どうしましょうか」


未だに蓮先輩が言う“奏音”という自分の名前にくすぐったい様な妙な気持ちになってしまって。

動揺を隠しきれませんっ!!


ん?

というよりも、先輩はあたしのベッドで寝るということですか?


「じゃ、じゃぁ…
あたしはお布団で寝させて頂きますね!」


そう言って床に敷かれたお布団にペタリと座り込み、
そのままモゾモゾと足を忍ばせていく。



「…ん、電気、消しといて」

蓮先輩は眠たそうな声で言うと、そのまま掛け布団を掛けて寝入ってしまった。


ずっと眠かったのかもしれませんね…


先輩に言われた通りに天井に繋がる紐を引くと、あたしもお布団の中に入り瞳を閉じてみる。



けど…


何故か寝れない、です。



少しだけ起き上がってチラッと蓮先輩の方を見てみます…けれどもあたしの目に映ったのはスーッという規則正しい寝息を立てて寝ている先輩の姿。



あっ、

まつ毛長いんですね…


「ふふふ…っ」

何だか無意識に小さく笑ってしまうあたし。ベッドに腕をついて横から蓮先輩の顔をジーッと見つめる。


そしてゆっくり手を伸ばして…