「例えば天使と悪魔が恋に堕ちたとして…」
小さくあたしはあの日に見た歌詞を口にしてみました。
「それだけだろ?見たのは」
いいえ、違います。
と心の中では言いつつも、この先輩の表情を見ると…
…言えません、ね。
「は、はい」
「なら別に構わねぇよ」
すると先輩は安心したように笑って、再びまたあたしのベッドに寝っ転がった。
“近付いたと思えば離れて…天使なんかじゃない君は天使の殻を被った堕天使”
ふともう一つあたしが見た歌詞を思い出して、
つまり先輩が書いた歌詞があたしだとするなら…
天使はあたしで、悪魔が先輩ですか?
堕天使とは…簡単に言ってしまえば悪魔さんのようなものですよね?
うーん…
難しいです。
「なぁ、…奏音」
「何ですか?
…って、今あたしのこと、」
奏音って名前で…呼びましたよね?
「何だよ」
「い、いえ別に…」
あたしはそう言ってはにかむようにして笑い、どうしても口元が緩むのを抑えられずにニヤケっぱなし。
「明日、暇?」
「…へ、明日…ですか?」
そして再びあたしの驚きは続く。

