「…あの、
大塚先輩はどうなされましたか?」
持っていたウーたんを膝の上にちょこんと乗せて、先輩をジッと見つめる。
するとその視線が蓮二にとっては痛かったのか視線から逃れるようにして、
ベッドの側の勉強机の椅子に腰掛けた。
「大丈夫、とりあえず寮長に預かってもらったから…
あーなると色々面倒だし」
…あーなると、
あ、もしかして“二重人格疑惑”のことですか。
疑惑。…では無いと思うが。
「蓮先輩、大塚先輩のその…二重人格って、一体どういうことなのでしょうか?」
と。言ってから思う。
やっぱり聞くべきでは…
無かったでしょうか。
こういうのは不謹慎というものですよね、やはり。
「あ、やっぱり「アイツ」」
あたしの言葉を遮り、蓮先輩が口を開いてその座っていた椅子に更に深く座り直しました。
「え…?」
「アイツ、愁はさ…五人兄弟なんだけど、
愁の他は全員“女”なんだよ」
…全員、女性ですか??
「そんで小せぇ頃からおままごとなり何なりやらされてて、
…そのせーであんな女みてぇな性格なんだよ、アイツ」
確かに大塚先輩、
オカマさんでは無いですし口調も男性らしいですけれども…
考え方とか好きなものとか…顔とか、
とてつもなく女性的です。
いや、違いますね…
趣味が合うんですよ、あたしと!!
「…けど、」
そんなことを考えている間に話しは進まれていて、
蓮先輩の表情は少しばかり曇っていました。