『よしよし』とか京也は言いだすと、ゆっくりと奏音の寝ていたベッドに座る。


「…えーと、」

手を握り口に当ててゴホンと一つ咳払いをすると、



「まず俺っ!

…葛木京也、二年で奏音ちゃんの一つ先輩だね、
あ、ここにいる奴等は俺と同じ二年ね?」


そう言って周りにいる人達を指差すと、
少しばかりさっきより京也と奏音の距離が縮まったような気がした。



「…あ、…あの…」

大きな目を更に見開いて、見るからに京也の行動に驚いている奏音。



「…それと…、好きなタイプは、奏音ちゃんみたいな…「はーいっ!!」」

近付いてきた京也の手が伸びて奏音の頬に触れようとした時、




─ドタッ



さっきまでベッドに座っていた京也が消えてその場には女の子のような顔をした男の人がいた。



…あれ、この人も、


「…いってー、お前やめろっ!」


「うっせー!!!

…あ、俺の名前は大塚愁!好きな食べ物はショートケーキとか甘いの!」


「男の癖に…っ」

ボソッと聞こえた一言。


「分かってないんだよー!蓮二はダメ!!

…ね、奏音ちゃんはどういう食べ物が好き?」


ニコニコの可愛らしい笑顔で愁は言うと、思い切りグッと奏音に詰め寄る。



「…あ、あたしも好きですっ!
あの、駅の側にあるケーキ屋さん…、知ってたりしますか?」


さっきまではなかなか喋らなかったのにこういう自分の好きな物の話になると急に元気になる奏音。



「知ってるーっ!!あの店はショコラ系が美味しいよね!」


「はいっ!すっごい美味し「黙れ」」



あたしの言葉を思いきり遮ると、また不機嫌そうな姫山先輩。


「無愛想な奴、…じゃぁ、蓮二、自己紹介」

大塚先輩はあたしの側から離れると、ベッドの側に姫山先輩を無理矢理連れてくる。