はぁ…今日もかっこいいなぁ


私は長濱 咲


片想いしている。


なんと担任の先生に…


私は昔から真面目な子だった。


試験でも常に5位以内


ましてや恋なんて、した事なかった。


片想いの相手、中尾先生はオタクだ。


私とは程遠い人


だからこそ惹かれたのかもしれない


中尾先生は黒縁の眼鏡をかけていてボサボサの黒髪、180cmの長身が特徴だ。


ずれた眼鏡を直す仕草もかっこいい


ボーッとしながら見ていると


「長濱?」



先生がこちらに向いた。



名前を覚えてもらえるのは成績上位の特権だ



「どうしたんですか。先生。」


素っ気なく返事をする



好きだってこと、バレてないよね


「いや、こっちを見てた気がしたから。

なんか用か?」



「いえ別に。ただ、その髪型はわざとなのかなと思っただけです。」



「長濱は相変わらず厳しいなぁ」


そう言って先生は笑う


「先生はぼんやりしすぎです」


「せっかく長濱はかわいいんだから、そんなんだとモテないぞ〜」


「先生に言われたくないです」



これも先生の悪い所。



かわいいとか、そういう事を平気で言ってくる。


先生と別れて教室に戻る


チャイムが鳴った。


授業が始まる



私は教室に走った。


教室に入ると真っ白な黒板が見えた。



前の授業の板書が残っている。


消さなきゃ


まだ先生が来ていない事を確認して席を立つ


ぐっ…届かない…


身長150㎝の私は上まで消すことができない


つま先を伸ばして震えていると


手が


頭の上から



え?


心臓がはねる


「長濱は小さいなぁ。ちゃんと食べてるか?」


「先生」


気づいてくれたんだ…


次の授業は中尾先生だったのか


「席に着きなさい。授業を始めるよ」


先生は真面目な声でそう言う。



「はい…」


その日の授業は集中することができなかった。



3ヶ月後



中尾先生から職員室に呼び出された。


「どうしたんですか。先生」


「直球に言うが、最近授業に集中できていないんじゃないか?」


「この前の模試も順位が落ちてたじゃないか」


「何かあったか?」


先生は困り顔でこちらを見た。


言葉が出ない


先生にこんな事言われるなんて、恥ずかしい。


「先生のせいです…」


「先生がっ!かっこいいから…!」


「え…それってどういう…」


気づくと私は職員室のドアを開けて逃げ出していた


「ひっ…ぐすっ…」


私は授業をさぼって屋上で泣いていた


順位が落ちた事も勿論悲しいけど


先生にあんな顔をさせたのも悲しかった


ガチャ


ドアが開く音


「長濱 咲!」


息を切らしながら先生はこっちに歩いてくる


「来ないでください!」


「長濱!さっきの事、どういう事だ?」


「先生の事が、好きなんです!」


「…!ごめん…」


「先生は成績上位じゃないと私の事、かわいいとか…言ってくれませんか…?」


「長濱はいつでもかわいいよ」


「っ…!じゃあ…!」


「でも…ごめん…」


「俺…来月結婚するんだ」


「こんなオタクでキモい俺の事、好きって言ってくれる人が2人もいて…俺は幸せ者だな」


私の涙は溢れて止まらない


「そっか…ありがとうございました」


私はもう泣いてはいけないと思って笑った


「ありがとうな…俺の事好きでいてくれて」


先生、すきだったよ…