「悪いけど、誰でも良かったんじゃないから。河合さんだから、キスしたってことだけは勘違いしないで欲しいんだけど」
「え? なにそれ、どういう意味……」
まさか、と思った。
私はつい、都合良く真樹が私のことを好きなんじゃないか、なんて解釈をしようとしてしまったけれど、私達はあの掟があるから恋人同士なだけ。それに、もともと根っこからのヲタクだ。恋愛なんて彼もするのだろうか。
そんな事を思っていると、彼はため息混じりにまた髪をかくと、私の目をまっすぐ見て口を開いた。
「……河合さんのことが、好きだよ」
彼がゆっくり私に伝えてくれた言葉は、自分でも信じられないほどに嬉しかったらしく、気づけば私の目からは涙がまた溢れ出ていた。
「嘘だ」
現実味を帯びていない現実に、つい、そんな言葉を漏らした。
「いや、嘘じゃないから。しかも、割と初めから……っていうか、実はオンラインしてた頃から河合さんのことは気になってた」
「えっ……⁉︎」
「信じられないだろうけど、本当だから。っていうか、河合さんはどうなの? 前にも言ったけど、もし、清水のことが好きならこの関係終わらせちゃったほうが良いでしょ」
「えっ? 清水?」

