社内公認カップルの裏事情 〜ヲタクの恋は攻略不可能?〜



「河合さん、深川さんと別れちゃったんですかぁ?」

「え?」

月曜日。会社に出勤すると、早々に受付藤田さんが私に駆け寄ってきた。

何事かと思えば、彼女は私と真樹が別れたのか、なんて言ってきたものだから私は目を丸くして驚いた。


「あれ、違うんですね!なんか、今朝そんな噂を耳にしたのだそうなのかと思いました」

心なしか残念そうにしてそう言った彼女の言葉が引っかかる。

一体、どうして私と真樹が別れたなんて噂がたってしまったのだろう。だって、私達はしっかり隙のない恋人を演じてきたはずなのに。


「最近一緒に来てないみたいだし、河合さんも積極的に飲み会に参加してるって聞いたからチャンスかと思っちゃいました」

小さく、だけど、しっかり聞こえるようにそう言った彼女は、少しだけ唇の隙間から舌を出すと受付まで戻って行った。

あれは、宣戦布告と受け取れば良いのだろうか。なんて、呑気なことを考えていると、後ろから清水がやって来た。


「清水、おはよう」

「おはよう。今日は、深川と一緒じゃないんだ」

「あ、うん。今日は私の方が先に出て来たの」


今日は、本当に偶然一人だった。珍しく寝坊したらしい真樹が先に行ってほしいなんて言っていたから、先に出て来ただけ。もちろん、仕事の都合で別々に出ることも最近多々あったけれど、それだけであんな噂までたってしまうものなのだろうか。