社内公認カップルの裏事情 〜ヲタクの恋は攻略不可能?〜



────ガチャッ

「ただいまー」

なんとか飲み会を終え、23時を過ぎた頃に家へと着いた。恐る恐るドアを開けると、リビングの電気はまだついているようだった。

真樹のことだからまだゲームでもやってるんだろう。そう思いリビングの扉を開くけれど、いつも二人並んでゲームをしているソファーには真樹の姿は見えない。

ぐるっと右方向に視線を動かすと、テーブルにうつ伏せている真樹が視界に入ってきた。


「真樹?」

そっと近寄り、名前を呼ぶ。だけど、返事は返ってこない。

「真樹、こんなところで寝たら風邪ひくよ」

そんなことを言ってみるけれど、寝息を立てている彼から返事が返ってくるわけもなく、私はカバンを下ろした。そして、ポケットのスマホを取り出しテーブルの上に置くと、メッセージの通知が一件。


────《迎えに行こうか?》

真樹から、そう一言メッセージが届いていたのは一時間ほど前らしい。


「真樹、私のこと待っててくれてたんだ……ごめんね」

そんなメッセージが来ると思っていなかったというのもあって全くメッセージを確認していなかった。

今日は残業だと言っていたし、自分だって疲れているはずなのに。メッセージを送ってからずっと返事を待っててくれてたのか。