「分かる分かる。私も茅ヶ崎の顔面とクズっぽくてゲーマーなところが好き。だけど、茅ヶ崎くんも乙ゲーとか少女漫画に出てきそうな感じだよね」
「ええっ、本当ですか?」
「うんうん。乙ゲーなら、可愛い系男子だよね。ツンデレ、クールときたら絶対オトメンくるでしょ?」
「あはは、入る枠があるとしたらやっぱりそこですよね」
へへへ、と照れ臭そうに笑った彼は、喜んでいるのかと思いきや「でも、できることなら王道ヒーローみたいな男子になりたいですけどね」と言って笑顔を苦笑いに移した。
「そっか、男の子だもんね。なんか、ごめん。だけど、可愛いオトメン私好きだし需要あると思うけどなあ」
でも、そういうことじゃないか。と、一人付け足して頷く。
「あ、そうだ。あとでID渡すしフレンドにならない? 私かなりレベル上げてるし力になれると思うよ」
「え、本当ですか⁉︎」
「うん。茅ヶ崎くんが良ければ」
嬉しそうに目をキラキラとさせた茅ヶ崎くんに笑顔でそう返すと、彼はまた更に目をキラキラとさせて喜んだ。
結局、他の人とは特に話をしないまま、私は茅ヶ崎くんとずっとコソコソとゲームの話をし続けていた。
意外にも、周りの人はそれぞれの会話に夢中だったようで私がゲーマーであることは全くバレていないようだった。
他の誰かの会話が盛り下がると、その瞬間、会社の話に切り替えていた私の瞬発力と、茅ヶ崎くんの気の利いた臨機応変な対応の効果に違いない。

