「あ、清水はどうする?」
「来てから頼むか?」
「あ、清水くんはビールだと思うよ。いつもビール飲んでるしもうすぐで着くみたい」
そんな会話を横耳に、もう一度茅ヶ崎くんの方を見る。すると、彼の方はもっと前から私の方を見ていたらしく、しっかり目が合ってしまった。
キラキラとした彼の目が言いたいことは、何となくわかる。いや、私が言いたいことと全く同じはず。
だけど、ヲタクを今まで公表していなかったというのに自らそれを崩さわけにもいかない。
同じゲームをしている貴重な仲間で、同じキャラを推している。しかも、そのキャラと二文字違い。こんなの、話せば盛り上がるに違いないのに。
「あ、あの……ひょっとしてビースリー河合さんもしてます……?」
「う……」
ぼそっと小声で問いかけてくる彼に、「うん」と返事をしたいけれど、社内の一人に教えるというのはかなりリスクが高い。
「あ、もし嫌なら絶対他の方に言いません!あ、あと、僕かなり雑食ゲーマーで乙ゲーとか守備範囲広くて。だから、軽蔑とか全然しな……」
「え、それ本当? 乙ゲーも?」
────やってしまった。
つい、彼の言葉を遮ってしまうほどノリノリで返事をしてしまった。
〝乙女ゲーム〟までを専門としたゲーマーに出会えたことに、つい興奮して返事をしたけれど、もう私がゲーマーであることはこの時点で彼にはバレてしまったらしい。
「はい!何でもやります」
「ええ、そんな風には見えなかった……」
「それは河合さんもですよ」
コソコソと誰にも聞こえないように。だけど、二人の会話はこのま静かに熱を帯びようとしていた。すると。

