「はは。本当河合さんって、分かりやすいな」

「うるさいなぁ、もう。勝手でしょ」

「まあ、そうだね。だけど、今時物騒だから危ないよ」

くすくす笑いながら私を小馬鹿にしていたかと思えば、真面目にそんなことを言い出す真樹。彼は平らげられたオムライスとサラダのお皿を持ち上げ、それをシンクへ運ぶとそのまま自分の部屋へと戻っていってしまった。

しばらく真樹の部屋の扉を見つめた後、また再び前を向いた私が残り半分程度のオムライスにまた手をつける。すると、背後の真樹の部屋の扉が開く音が聞こえた。


「河合さん」

「なに?」

声をかけられ、後ろを振り返る。

私を呼んだ真樹は、何やら手のひらサイズの包装紙に包まれた箱を持っていた。


「はい。ささやかな誕生日プレゼント」

「え、待って。ご飯作ってもらって、ケーキまで準備してもらったのに……」

「お互いのゲーム環境を整えるためとはいえ、いつもご飯作ってくれたり、掃除もこまめにしてくれてるし。それにこれ、河合さん、きっと喜ぶと思うから受け取ってよ」

「うん……ありがとう」

真樹が差し出した箱を受け取る。

頑張って口角を上げてみたけれど、彼の言った〝お互いのゲーム環境を整えるため〟という言葉が何故か無性に悲しくてうまく笑えていないような気がした。