ここは上手く交わして早く仕事に戻ろう。そう思った私が再度口を開こうと思ったその時。


「この間も言ったけど、河合はさ、もっと人に頼ってもいいと思うよ」

真剣に、でも優しい表情で清水がそう言う。

確かに、ついこの間、私の荷物を一緒に運んでくれた時にも彼はそう言ってくれていた。


「俺の推測だと多分、深川のことで悩んでるんだと思うけど……深川には相談できないことなら、俺が聞いてやるし、俺じゃなくてもいいから何でも相談した方が楽になると思うよ」

「そう、なのかな」

「まぁ、俺には相談しづらいかもしれないけど。でも、男にしか分からないこともあるだろうしさ」

いつでも話聞くから、と言った彼は私の頭に手のひらを置くと、くるりと方向転換をして私に背を向けた。

私が言うのもおかしいけれど、清水は私のことを本当に良く見てくれているのかもしれないな、なんて思っていると、私に背を向けていた彼が再びまた私の方を見る。


「あ、あと。俺は河合のこと女として致命的だなんて思ったことないよ。寧ろ、その逆だから」

「えっ」

「それじゃあな」

清水がそう言って右手を挙げ、口角を上げた。

私に背を向けて歩き出した彼は、本当に私には考えられないほどストレートな人だ。

あれだけ真っ直ぐに何度も想いを伝えられて、返事もせず曖昧にしている私にまだこれだけの言葉をくれるというのか。