「……あ」
島田さんの口から声が漏れた。何かを見てしまった、というような彼女のバツの悪そうな顔。
私は、その理由を知るために彼女の視線を辿るようにして後ろを振り返る。すると、そこには藤田さんと二人で話しながら歩いている真樹の姿があった。
「えっと……美帆ちゃん、ごめんね。あの飲み会の日から藤田さんと深川くんがああやって二人でいるところ見かけるから、もしかしてあの飲み会を企画したせいで……と、思ってて」
島田さんがそんな風に罪悪感を抱く必要はないのに、言いづらそうに、申し訳なさそうに眉尻を下げている。
この間、清水といた時も同じように真樹と藤田さんが二人でいるところを見かけて、同じような表情をされたな。と思いながら、私はゆっくり口を開いた。
「島田さんのせいじゃないですよ。私は大丈夫ですし、真樹は、前から誰にでも人当たりが良いから……」
もう一度〝大丈夫です〟と言おうとして、言葉に詰まる。
本当は、大丈夫じゃない。今だって、動揺しているし、本当に真樹が離れて行きそうな気がして怖い。だけど、そんな事、とても言えない。
「違うの」
「え?」
次の言葉を発せないまま、もう一度、視線を真樹と藤田さんの後ろ姿に向けていると島田さんが先に声を発した。

