「美帆ちゃん、ちょっといい?」

休日明けの月曜日、コピー機の前で百を超える書類のコピーをとっていた私に島田さんから声がかかった。

「あ、はい。あと少しで終わるので待っていただいても良いですか?」

「うん。全然大丈夫よ。ちょっと、廊下に出て待ってるね」

「はい」

私の返答を聞き終えると、背を向けてオフィスの外へと出て行く島田さん。

一体何の話だろう、と不思議に思いながらぼうっとしているといつの間にか印刷を終えていたらしくコピー機の動きが止まっている。私は、その書類を手に取り纏めると島田さんの待つ廊下に向かった。


「島田さん」

お待たせしました、と付け足しす。すると、廊下の壁際にもたれてスマートフォンを触っていた島田さんがこちらを見て眉尻を下げた。


「美帆ちゃん。最近、ひょっとして深川くんと上手くいってない?」

「え?」

「余計なお世話かも知れないけど、最近、前ほど二人で話してるところ見かけないし、それに……」

顔を顰めて、その続きを言いづらそうにする島田さん。

言いづらそうにしている彼女が次に何を言いだすのだろう、と考えていると、島田さんの視線がなぜか私よりもずっと奥に向かった。