「わ、待って!スーパー着地どうやって使うんだった⁉︎」
「待って。みぽりん、数日ゲームしなかったくらいでそんな基本操作すら忘れたの?」
「え、だって、あ、あーーーー‼︎」
「おつー」
「こら、まきろん⁉︎ 今の完全に私の隙狙ったでしょあんた!この外道が!」
五年ぶりの恋煩いとやらに悩まされていたこの数日。私の酸素と言っても過言ではないゲームを全くしない日々を経た私は、初心者のような動きしかできないでいた。
操作方法すら忘れてしまうという事態にパニックになっていると、そんな私の隙を狙ったのは、敵チームの真樹。
操作方法が分からず困っている私のことを武器で倒してきた、隣の無慈悲な男はけらけらと笑いながらゲームを続けている。
「ごめんごめん、つい面白くって打っちゃった」
「……絶対許さない。あんた、待ってなさいよ?」
「やば。みぽりん、本当に顔笑ってなくてわろた」
「笑えるわけないでしょ。あんた本当に潰す」
「え、あ、やばい来た」
カチカチカチ、とゲーム機を操作する音。それから、二人の会話と笑い声だけが響くリビング。
少しだけ久しぶりなこの休日に、私は自然とたくさんの笑みがこぼれた。

