「別に何もない。私には関係無いし、真樹の好きにしたらいいじゃん」

腰にかけていたタオルケットを握り、顔を隠した。

ぎゅっと唇を噛み締めると「ふうん」とだけ言い残した真樹の足音が段々と小さくなっていく。


「ばか真樹」


私は、真樹には聞こえないように小さくそう吐き捨てると、ぎゅっと瞼を閉じた。

真樹が、女の子と二人で行く。

それだけだというのに、何故か苛立ちと不安が止まらない。


お互いより良い環境でゲームをする為に結ばれた掟。それを守るために、私達は仲の良いカップルを演じているだけ。

だけど、もし、真樹が藤田さんに恋をして、付き合うことになって、私の利用価値がなくなってしまったら。

演じているだけだとしても、私が真樹の〝恋人〟ではいられなくなってしまったら。

そう思ったら、どうしてか目頭が熱くなった。