「河合さん、今日もゲームやらないの?」

「……しない」

「河合さん、これでゲームしないの三日目だけど大丈夫? もしかして、体調でも悪い?」


私の胸の奥につっかえている得体の知れない何か。それは、消えることなんてなく、寧ろ大きくなって私を未だ悩ませていた。

毎日、仕事を終えた後も休みの日も。二人で一緒にしていたはずの大好きなゲーム。

ゲームは、私にとって欠かせないものだったし、真樹とのゲームはストレス発散にもなるし、とっても楽しい至福の時間だった。しかし、今はそのゲームをする余裕すらもない。


「河合さん」

「なに?」

「ちょっと、おでこ触るよ」

ソファーに寝転がったまま、返事をする。すると、背もたれの向こう側に立っていた真樹が私の額に指先を伸ばしてきた。


「なっ、」

驚いて、つい間抜けな声が漏れた。

数秒私の額の熱を測った大きな手のひらは、ゆっくり私の額から離れていく。どうしてか離れていくその手に寂しさを覚えた私は、気づけば視線で真樹の手を辿っていた。


「熱はなさそうだけど、あんまり無理しない方がいいよ。仕事も最近調子良くないみたいだし」

明日から俺がご飯当番しようか?、と言った彼が柔らかく笑った。

やっぱり、私が仕事でミスを重ねていることも彼の耳には入っていたのか。そう思うと、なんだか情けなくて目頭が熱くなった。