私の返答を聞き入れた彼女は、ゆっくり首を縦に振ると再び私を見て返事を待った。


「全然、二人で飲みに行くくらいなら……」

〝大丈夫〟が喉の奥で詰まった。しかし、彼女の方は私の言葉を遮るようにして「本当ですか!?ありがとうございます!」と満面の笑み。


きゅっと目尻を下げ、口角を上げながら嬉しそうにする藤田さん。女の私から見ても可愛らしい彼女の反応に、私の胸の奥がまた痛くなった。

得体の知れない自分の感情にまた苛立ちを感じてしまう。


変に二人で飲みに行くことを拒否すれば、真樹が会社で過ごしにくくなるかもしれない。それに、異性と二人で飲みに行く程度のことも許せないなんて、余裕のない恋人だと思われるのも私達の交わした掟上問題だった。

だから、これで問題ない。そのはずなのに────。