私の馬鹿げた質問に、やっぱり彼はすかさず否定をした。
「あはは、だよねー。分かってる分かってる」
ひょっとして、とは思った。でも、それは本当に一瞬。
冷静になって考えてみれば、真樹が私に嫉妬をしているわけがない。だって、私たちの間に特別な感情なんて一ミリもない。
もし、ここで真顔で肯定されたってこっちも困るし、これが正解だ。
「ほら、早く帰るよ。ビースリーのアップデートあったんでしょ?」
「あ、そうだったそうだった!」
すっと、また手を差し出した真樹。
その手をとった私は、おぼつかない足取りで必死に家路を急いだ。