「け、結婚?」
まさか、真樹の口からそんな言葉が出てくるとは全く思っていなかった。出てくるとしても、今このタイミングで出てくるなんていったい誰が予想するのだろうか。
「あれ、しないの? 結婚」
「え? 違う、そうじゃなくて!もちろんする!したいけど……まさか、真樹がそんなこと考えてるなんて思わなくて」
オンラインで出会った当初から、恋人をつくることも結婚も興味が無いと言っていた真樹。
今思えば、当初は私もそうだった。全くそんなことは考えていなかったけれど、まさか真樹までそんな風に考えていたとは思いもしなかった。
「結婚なんて、絶対しないと思ってた。確かに、オンラインしてた時から河合さんのことは気になってたし、どこかで特別には思ってた。だけど、まさかこんなに好きにさせられるとは思ってなくてさ」
真樹の視線が、再び熱く絡まる。恥ずかしくて、でも嬉しくて気がどうにかなりそうだ。
「今では、結婚するなら河合さんしかいないって思ってる。誰にも渡したくないっていうのもあるけど、河合さんとなら、きっと楽しく過ごしていけるんだろうなって思ってるし、幸せにできる自信もあるから」
「……ありがとう」
真樹の言葉に、だんだん顔が熱くなってきた。
時々、彼は何の恥ずかしげもなくストレートな言葉を私に伝えてくる。それはもちろん嬉しいことだけれど、言われ慣れていない事ばかりで私はいつもどうしたらいいか分からなくなる。

