社内公認カップルの裏事情 〜ヲタクの恋は攻略不可能?〜



────そして、やって来た週末。


「真樹!掟の紙、剥がして!っていうか、もういらないじゃんそれ!」

「りょー」

「あとこっちのゲームいらない!私と茅ヶ崎くんこっちする予定だし!」

「いや、それは俺がするために置いてるから。そのまま置いておいて」

「いつも自分の部屋でしてるんだから自分の部屋で良いでしょ!」

朝からずっとこの調子でバタバタとしている我が家。

リビングに大きく貼られた私達二人の掟が書いてある用紙や、私達が仮面恋人だったと分かるような物を片付けたり、部屋を片付けたりと、普段あまり人を呼ばないせいかするべき事が多い。


───ピンポーン

最低限のするべきことが終えられたと思った頃、部屋中にインターホンの音が鳴り響いた。


「あ、茅ヶ崎くん着いたのかな」

「茅ヶ崎意外に誰が来るの」

「うるさい。郵便かも知れないでしょ? もう真樹は部屋戻っててくれていいから」

口を開けば私のことを小馬鹿にしてくる真樹に睨みを効かせると、私は急いで玄関に向かった。