でも、それでも彼の家に行くのもうちに彼を呼ぶのも違う気がする。

「えっと、茅ヶ崎くん。あのね……」

これはどうにかしてやんわり断ろう。そう思い、とりあえず言葉を選んで並べ始める。すると、彼の背後から怖いほどの笑みを浮かべた真樹が近寄ってくるのが見えた。


「真樹……」

私がそう呟くと、茅ヶ崎くんはゆっくり後ろを振り返る。

ここに真樹が現れたことで彼は前言撤回するのではないかと考えた私は、ナイスタイミングで現れてくれた真樹に心の中でガッツポーズをした。しかし。


「深川さん、ちょうどいいところに!僕、河合さんと一緒にしたいテレビゲームがあるんですけど、僕の家に河合さん呼んでも良いですか?」

私の予想に反して、彼は純白の鉄ハートで真樹に直接許可を得ようとし始めた。


「それは流石に、彼氏としては首を縦に振れないかな」

何の汚れも企みもない、ただゲームを私としたいだけのピュアな男の子。そんな彼に向けて、いつもの嫌味なくらい爽やかな笑顔で断りを入れる真樹。

流石は私の彼氏だ。よくやった。なんて、心の中でそう思っていると、まだ諦めていないのか、茅ヶ崎くんが再び口を開いた。