「あ、えっと、嫉妬とかそういうのって……少女漫画でも小説でも乙ゲーでも需要あるし、女の子は好きだと思う」

振り向いてこちらを見た彼に、フォローのつもりで嫉妬はダサくないということを私なりに伝えてみる。

発したあと、これはフォローになったのか? なんて思ったけれど、真樹の口角が自然に上がったのを見て私は安堵の息を漏らした。


「それ、どういうフォロー」

「……ごめん。他に、浮かばなかった」

「はは、河合さんらしい。まぁ、でも、女の子は好きだってことは、ちゃんと河合さんにも需要あるってことで良い?」

「……女の子って歳じゃないけど、お好きに解釈してください」

視線を逸らして、そう返す。

相変わらず可愛い気がないな、なんて改めて思っていると、こちらに戻ってきた彼が私の頬を人差し指と親指で摘んだ。


「ねぇ、ひとつだけ。茅ヶ崎がゲーマーだからって、茅ヶ崎ばっかり構って俺とゲームしなくなるのは無しだから。それだけは本当に怒るから」

「え?」

「分かった?」

「え、あ、うん」


半ば強制的に返事をさせられた私は、「分かればよろしい」とまるで子犬のように頭を撫でられた。