「流石です!僕も、逆に河合さんの力になれるくらい頑張らないと!」

「それなら、私ももっと頑張らないとね」

「ええ、河合さんはそれ以上頑張らないでくださいよ!」

飲み会の時と全く変わらず、ゲームの話を持ちかけてきて楽しそうに笑っている茅ヶ崎くん。そんな彼を見ていると、どうも私のことを異性として見ているようには思えない。

やっぱり、島田さんのあの言葉は勘違いでは? と、思っていると。


「河合さん、茅ヶ崎、おはよう」

向かいから、私よりも一時間は早く出勤した真樹がやって来た。

会社ではいつも爽やかな笑顔を振りまいている彼だけれど、今日はいつもに増して嘘くさい笑顔を浮かべている。しかも、私のことを会社であるにも関わらず苗字呼びした彼に何となく違和感を感じた。


「あ、おはようございます。深川さん」

「おはよう」

笑顔で挨拶をした茅ヶ崎くんに続いて私も挨拶をする。

何か言いたいことでもあるのかと思っていたけれど、意外にも彼はその後、そのまま私たち二人を通り過ぎ去って行った。