恥ずかしくて、すぐそらしそうになったけど、気づかれないように頑張って見つめる。



 「そう。じゃんけんで、紗世ちゃんが負けたら、こっちの楽譜ね。紗世ちゃんが勝ったら、俺がこっちの楽譜やる」



 「じゃーんけーん__」という合図に、私も急いで拳を前に出す。


 な、なんだこれは……!


 ドキドキが、おさまらない。



 「__ぽん」



 私はグー、先輩はパーを出す。



 「あ、負けたね? じゃあ紗世ちゃん、こっち」


 「有り難うございます……」



 先輩を見ると、相変わらず目があう。


 おまけに下から目線。