楽譜をガン見しながら何とか答えると、あははっ、と先輩が笑った。



 「嘘だぁ~」



 無邪気な声に、ハッと先輩を見る。


 笑顔……だ。


 先輩の笑顔。


 こんなに、近い……


 私の顔は、更に熱くなっていく。



 「お疲れさまでした~」


 「あ、お疲れさま~」



 その時、残っていた私達以外の最後の一人が、部室を出ていく。


 あ……いま、先輩と二人きりだ……



 「どうする? こっちか、これ、どっちやりたい?」


 「あ、えー……どっちやりましょう……」