バイバイ、と両手を仲間に振って水嶋くんは私の方を向き直す。
「先輩、せっかくなんで一緒に帰ってください!」
「え…。」
「駅まででいいですから!夏休み前に思い出ください!」
なんて、押しに弱い私は、気付けば水嶋くんと下校している。
「はー。」
私のバカ。
なんでこうやって気を持たせるようなことしちゃうかな…。
「嫌…でしたか?」
不安そうな顔で水嶋くんが覗き込んでくる。
「あっ、いや…そうじゃなくて…!ちょっと、疲れただけ!うん!」
「良かった。」
安心したように水嶋くんは笑った。
「先輩は今日どうして遅かったんですか?」
部活してないですよね?
と、聞かれると。
よくそこまで知ってるな…という気持ち。
「学園祭の実行委員になっちゃったんだよね…。」